移植後TMA

摘要

造血細胞移植後にみられる早期合併症のうち予後を大きく左右する三大合併症は，①免疫反応としての急性GVHD，②免疫学的再構築過程における感染症，③移植前治療に用いられる大量化学療法と放射線照射あるいは移植後使用される薬剤による治療関連毒性である．細小動脈の血管内皮細胞傷害と血小板血栓によるtransplantation－associated thrombotic microangiopathy（TA-TMA）は比較的まれな移植後早期合併症であり，上記の三大合併症をきたす要因が複軌こ絡みあって発症する．本疾患はmicroangiopathic hemolytic anemia（MAHA）あるいは血管内皮障害に伴う檢査値異常と臓器障害徴候により総合的に診断される症候群であるため，ほかの合併症との鑑別診断を要する．血漿交換不応性で免疫抑制剤の減量以外有効な治療法がなく，重症例の予後は不良である．疾患可能性を念頭においた早期診断が重要である．