骨代謝疾患のゲノム学－ゲノム解析に基づく'ありふれだ'骨代謝疾患の原因遺伝子の同定－

摘要

遺伝現象を分子レベルで説明できる時代が到来するとともに，さまざまな疾患に対する遺伝的要因の関与が明らかになってきた．骨粗鬆症，変形性関節症,慢性関節リウマチなど，一般集団中に高い頻度で起こる"ありふれた疾患"（common disease）では，原因は外因（環境因子）であり．"遺伝"は関係ないと長らく考えられてきた.しかし，これらの疾患の発症にも，やはり遺伝的要因が関与していることがしだいに明らかになってきた．これらcommon diseaseは多因子（多遺伝子）遺伝病で，環境因子と遺伝因子の双方の影響により発症することがわかってきた,この複雑な遺伝因子の解明がゲノムの解析によって可能になろうとしている．そのゲノム解析における有用な武器が，SNP（一塩基多型）をはじめとする遺伝子多型である．