同種末梢血幹細胞移植の適応,方法,成績

摘要

すべての血球に分化し,自己複製能を有する造血幹細胞は末梢血にも少数ながら存在する.この末梢血幹細胞(PBSC)を造血因子(伝-CSF)によって骨髄から動員し,大量に採取して同種移植に利用する方法が同種末梢血幹細胞移植(PBSCT)である.同種PBSCTは治療原理が同種骨髄移植(BMT)とまったく同一であり,具体的な方法も同種BMTと同様に実施される.同種PBSCTはこれまで得られた成績から同種BMTに比べて.（1）生着が速やかである, （2）全身麻酔下の骨髄採取に伴うリスクを回避できるなど,有利な点が指摘されており,同種BMTの代替法として急速に普及しつつある.一方去移植されるPBSC中にはBMTの場合に比べて10倍以上のT細胞が含まれており,わが国の成績では急性および慢性GVHDが同種BMTに比べて高頻度にみられている.このGVHDの増加が移植後の白血病再発を抑制する移植片対白血病くGVL)効果を増強するかどうか.興味がもたれる.