循環器疾患に対するテーラ-メイド医療

摘要

循環器疾患のなかでも高血圧に代表される生活習慣病でば生活習慣の修正が最初の治療になるが,減塩や減量の効果が顕著な人とあまり効果が認められない人がいることば以前より知られていた.近年の遺伝子解析研究の進展により.アンジオテンシノーゲン遺伝子など,多型の種類により減塩効果がより現れやすい群が明らかにされつつある.また,日本人は食塩感受性に作用する遺伝子多型の頻度が一般的に高いことも示されている.このような環境因子と遺伝因子の相互関係を明らかにすることで,個々人ごとに,より効率的な生活習慣修正の指導が可能になると期待される.血管内皮機能や血管形成術後の再狭窄などでは,薬物の効果が遺伝的に一部規定されていることも示されている.薬物の効果や副作用についても,前もって遺伝的解析を行うことで,より効果的で副作用頻度を減らした治療が可能になる可能性が示されている.