腎微小循環の障害と尿細管間質障害ADMAの役割

摘要

尿細管間質は多様な輸送機能をもつ尿細管とそれを取り巻く間質組織かう成り立っている．近年の病理学的解析により，糸球体障害よりも尿細管間質障害の程度のほうが，腎機能や腎予後とよく相関することが明らかとなってきているが，この尿細管間質障害の原因として,蛋白尿による影響と尿細管間質の慢性低酸素状態が代表的な因子として考えられている．、近年,循環血中にL－arginne anaIogueでるaiymmetric dimethylarginine（ADMA）が存在し，その上昇が一酸化窒素（NO）産生不全を介して慢性腎臟病（CKD）の進展や心血管合併症の発症に関与することが明らかとなってきている．本稿でADMAの生物学的特性，CKDの病態へめかかわり，とくに尿細管間質障害の原因である蛋白尿への影響と尿細管間質の慣性低酸素状態へめ影響に焦点を凝り述べる.