抗CCR4抗体によるT細胞腫瘍治療

摘要

著者らは,CC chemokine receptor4(CCR4）を分子標的とする新規抗体療法の開発研究を進めてきた.はしめにATLL, PTCL．unspecifiedなと,CCR4発現腫瘍に対し抗CCR4抗体かADCC活性による強い抗腫瘍効果を示すことを明らかにした.これらの結果をもとに, CCR4陽性末梢性T細胞性リンパ腫患者を対象としたヒト化杭CCR4抗体の第I相臨床試験かわが国で開始され(ClinicalTrials gov Identifier：NCT 00355472),現在進行中である．さらに最近,腫瘍組織内の制御壮T細胞による宿主免疫回避機構にCCR4分子が重要な役割を果たしていることが明らかとなった. CCR4に対する分子標的療法は，単に腫瘍細胞の表面に存在する分子に対する癌治療の域を越え，担癌患者の免疫抑制状態を解除する新しい概念の薬剤として幅広く展開していくものと考えられる.