アラキドン酸代謝酵素群の機能的カップリング

摘要

種々の生理活性を有するプロスタグランジン（PG）類の産生にかかわるアラキドン酸代謝はホスフォリパーゼA_2（PLA_2），シクロオキシゲナーゼ（COX），および各種PGに特異的な最終PG合成酵素の3段階によって制御されている．20種類近く同定されているPLA_2分子群のうち，細胞質PLA_2（cPLA_2）および一部の分泌性PLA_2（sPLA_2）がCOXへのアラキドン酸供給に関与する．2種のCOX分子種．COX－1とCOX－2は細胞の種類や活性化状態に応じて適宜選択的に利用され，アラキドン酸から産生したPGH_2を最終PG合成酵素に受け渡す．最終PG合成酵素は細胞内局在性に応じて特有のCOX分子種選択性を示す．本稿では，PG産生にかかわるこれら代謝酵素群の機能的カップリングについて最近の知見を概説する．