エンドトキシン血症の治療-抗エンドトキシン抗体の現状と今後の展望－

摘要

グラム陰性菌敗血症は成人呼吸窮迫症候群（ARDS），播種性血管内凝固症候群（DlC），急性腎不全（ARF）．ショックなどの臓器障害をもたらし，死亡率の高い疾患である．これらの臟器障害発症のトリガーは主としてグラム陰性菌の細胞壁外膜由来の内毒素であるエンドトキシンによるものであることが知られているが，現在のところ有効な治療方法はまだ確立されていない．抗エンドトキシン抗体は，エンドトキシンに対する特異抗体としてエンドトキシンを中和する方法である．現在までいくつかの抗エンドトキシンモノクローナル抗体が開発され，実験的·臨床的に安全性，有効性が試験されてきたが，その臨床的有効性に関して一定の見解が得られず，開発が終了している．今後，エンドトキシン血症という重篤な病態において．症例のrisk－benefit-balanceを考慮した治療法の確立が待たれる．