新しい血管収縮分子coupling factor 6

摘要

血管内皮は強力な血管拡張作用と抗動脈硬化作用を有する1層のバリアであり.内皮依存性弛緩因子(EDRF)がその役割を担う.EDRFにはフロスタサイクリン.一酸化窒素,内皮依存性過分極因子の3種類があり.coupling factor6(CF6)はそれらすべての産生を阻害し.動脈硬化促進分子の発現を亢進させた.CF6は血管内皮細胞の表面に存在するATP合成酵素を受容体とし.細胞内酸性化により昇庄作用を発揮した.また.CF6の産生はredox-sensitive転写因子であるnuclearfactor K Bにより正の調節を受けた.臨床的には.血中CF6濃度は本態性高血圧.末期腎疾患.急性心筋梗塞. 2型糖尿病患者で上昇しており,それらの病態形成に関与する可能性が報告されている.