EGF受容体ファミリーの生理機能と心不全

摘要

生後まもなく分裂を停止する心筋細胞は，その観いかにその細胞機能を維持したまま長年生存できるのか．心臓疾患にかかわる心筋細胞の生存や代謝を考えるうえでこの命題に対する答えは重要な意義をもつものと考えられる．分裂しない細胞においてそのゲノムは一生複製することがない．幼少時に心筋細胞核内にいったん合成されたDNAは半世紀以上にわたりその機能を維持し続けなければならない.このような特殊な環境にぉかれた細胞がいかに夕ほβの障害に対処しているかは興味深い.本稿では，HB－EGFという′EGFファミリーリガンドの機能解析を通じて心臓の代謝保護機構の一端を解説するとともにIゲノムの構造そのものにかかわる分子と心筋代謝におけるかかわりを概説する．