自己免疫疾患における臓器特異性決定機構とAIRE

摘要

本来,外敵の侵入に対して作動すべき免疫システムが,自己の組織を標的として破壊行為を行う病態が自己免疫疾患である(自己寛容の破綻).その原因はいまだ不明であり,自己免疫疾患は現在のところ原因に基づく治療法の存在しない難病である小.原因不明の自己免疫疾患の病態究明に,北ヨーロッパに多数の疾患家系が存在する自己免疫性多腺性内分泌疾患Ⅰ型(autoimmune polyendocrino-pathy-candidiasis ectodermal dys-trophy : APECED)が有力な手がかりを与えてくれるものと期待されている.APECEDは常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝病であり,過去にはHAM(hypoparathy-roidism--Addison-mnilia)症候群とよばれ,副甲状腺機能低下症,副腎皮質機能低下症(Addison病) ,皮膚粘膜カンジダ症(モニリア, monilia)を3主徴(trias)とする.AIRE(wtoimmune regulator)はその原因遺伝子として同定された.