パーキンソン症候群

摘要

パーキンソン病，パーキンソン症候群は年齢とともに増加し，高齢者の日常診療上，重要かつ高頻度の疾患群である.パーキンソン病は，根本治療ではないにしても，L-Dopa合剤を含めた治療薬が充実している一方，多くのノ一キンソン症候群においては決定的な治療薬はない.これらの疾患では， 薬物療法，リハビリテーションのみならず，介護保険，特定疾患などの社会資源を活用して社会全体で支えるという視点に立った診療，多職種間の連携が重要である.高齢者は多種類の薬剤を内服していることが多く，薬剤性パ一キンソニズムの頻度も高い.抗精神病薬のみならず，胃腸薬，循環器系の薬剤によっても引き起こされることに注意すべきである.また，高齢者は，一般に代謝が低下しており，抗パーキンソン病薬による幻覚をはじめとする副作用をきたしゃすい.突然の自己中断により悪性症候群をきたしゃすいので，感冒などほかの疾患を合併して薬が増えたときに，自己中断が起こらないように指導することも重要である.