うつ病のカウンセリング

摘要

カウンセリングは「聴く」ことであり，そのためには話ができる「場」や環境を整えておく必要がある．カーテンだけで仕切られた診察室や頻繁に人が出入りする場，電話で中断されてしまう環境では「秘密」は話せない．定型うつ病の力ウンセリングの基本は，休息ができる方向を目指すことである．すでに生物心理学的エネルギーは枯渇している状態であることを認識させ，急には休めないと思い込んでいる患者に，いかに休むこと自体がより治療的であるかをわかってもらうことが大切である．症状経過として一進一退で時間がかかり，途中に焦燥感が生じても一緒に「待つ」姿勢が必要である．同時に，支える家族は不安感が強くなり，相当のエネルギーを要するため，家族へも「聴く」ことが必要になる．一方，非定型うつ病に対しては，仕事や生い立ちでの人間関係に焦点を当て，自己評価を落とさぬよう，独特の受容欲求に応じてゆくことが大切である．