HDL－コレステロール直接測定法の測定キット間で測定値が乖離した原発性胆汁性肝肝変症の1例

摘要

血清の高比重リボ蛋白コレステロール（high density lipoprotein cholesterol，HDL－C）の測定において．直接測定法が普及しつつある．われわれは，HDL－C測定試薬「コレステストN HDL」（N－HDL第一化学薬品（株））と「デタミナーLHDL－C」（HDL－K，協和メテックス（株））による測定値が乖離した原発性胆汁性肝硬変症（primary biliary cirrhosis；PBC）例を経験した．これまでにもPBC例で直接測定法と沈殿法間でHDL－C値が乖離した症例の報告はあるが，直接測定法を用いたキット間における測定値の乖離を示した報告は認められない.また, PBC例で短期間でのHDL－Cとアポ蛋白の経時的変動を観察した報告もほとんどないが，本例ではこの点についても検討することができた．今回　 このPBC例についてHDL－C測定誤差の原因を検討したので報告する.