成人の心雑音を聴取した場合，どのような心音だと循環器的な検査 を施行すべきで，どういったときは不必要だと判断しますか？たと えば，収縮期雑音から大動脈弁狭窄症を疑ったとして，すべての患 者に初回でスクリーニングとしてエコー図検査を行いますか？

摘要

健康診断では，聴診する相手の臨床背景の情報がわからないことがほとんどです.この ような状況で，心雑音をスクリーニングする場合は，見逃してはいけないものを念頭に 置きながら，聴診を行うことがポイントです.拡張期雑音，連続性雑音はすべて異常と 判定して，心エコー図を実施すべきでしよう.収縮期雑音では，心雑音の強さが一番重 要です.そのほかに高調の逆流性雑音も心エコー図を実施すべき雑音と考えます. よく，高調な心雑音と間違えられやすい音に呼吸音があります.聴診器をちょっと当て たときに，高調な音が聞こえたら，患者に呼吸を止めてもらうように要求します.それ によってすぐにその音が呼吸音であることがわかるため，不必要なエコー図検査をせず に済みます.