がん検診の種類によつて有効率に差がある

摘要

がん検診は1960年に東北大学の黒川利雄教授(当時）らが始めた胃癌の巡回検診が最初だといわれている.その後，胃癌·子宮癌検診が国庫補助の対象とされ，さらに1980年代に老人保健法が成立すると市町村主体のがん検診が日本全体に定着した.この当時のがん検診が保健衛生の向上に大いに役立ったことは否定できない事実である. しかし，「早期発見」に重きを置いたために，早期発見さえできれば「がんにかからずにすむ」，または「がんになっても治せる」という理解が一般市民の間に広まり，がん検診を受けることが健康維持につながるという観念が半ば常識となつていた.