HIVサブタイプと感染経路

摘要

HlVの塩基配列情報に基づく遺伝子型（サブタイプ）分類を解析の指標とする分子疫学的アプローチは，ウイルスの起源，伝播の経路，流行形成のメカニズムを解明するうえで強力な武器となっている．簡便で優れた塩基配列決定技術とデータ解析ツールの開発に伴い，エイズの原因ウイルスであるHIVの塩基配列情報は，加速度的に，また全世界的に蓄積している．これらのゲノム情矧こ基づく系統関係の分析の結果,現在の世界流行の主要な原因となっているHIV-1グループMは，現時点で11種のサブタイプ·サブサブタイプと，34種の組換え型流行株（CRF）と種々の新規組換えウイルス（URF）に分類される．これら遺伝子型のあるものは，特定の感染経路と密接に関連していることがしばしば観察される．本稿ではHIV遺伝子型（サブタイプ）分類の最新基準とその世界分布·感染経路からみた特徴について論ずる．