代替医療先進国の実情と問題点

摘要

米国では医療費の高騰を背景に,自らの病気は自らの手で対処しようという風潮が高まり, 1970年代から医薬品を取り扱う薬局以外にビタミン剤やハーブ,ミネラルなどのサプリメントを専門に取り扱ういわゆる"ビタミン·ショップ"が全米規模で出店されるようになった.学術論文などの形で関連する有効性が報告された健康食品は,その事実を記載することができるため,医療機関や研究機関に商品の有効性に関する検証を多額の研究費とともに委託する業者が世界中で研究市場をも賑わせている。 研究論文に発表された健康食品の効能は直ちにビジネスにフィードバックされ,論文を根拠に新商品が大きく店頭を飾るという図式ができ上がっている。代替医療は世界規模のブームであるが,医薬品のように厳しい規制を受けない環境だけに,何が有効で何が有効でないかというエビデンスの蓄積も十分でないままにマーケットが巨大化してしまったところに問題がある。 わが国では, undergroundで万能薬の類いが出回っていることが最大の問題である。