歯槽膿漏の症状に鎮肝熄風湯加減が奏効した一例

摘要

主に鼻炎の治療を目的に、当初は真武湯、加味逍遥散や半夏白朮天麻湯などを処方し、症状は一進一退であった。4年前頃から歯槽膿漏が悪化し歯肉の腫脹疼痛が増強し、歯科では歯石除去を施行され、漢方は清胃散、玉女煎、黄連解毒湯などを処方し、病状はやや軽減を認めた。2年前から右上の歯に間欠的な晈合疼痛が出現するようになつた。歯科では歯肉の破壊が劇しい部分の歯根結石除去と歯歯槽膿漏に漢方治療が奏効した症例を経験した。歯槽膿漏は骨の病気であり、腎虚ゃ陰気の不足によって起きると考えべきである。高血圧や肥満などの全身性の異常と相関がある。治療方針は胃熱を清し腎陰を滋す観点から鎮肝熄風湯が選択肢に挙げられる。