小児虐待の実情

摘要

児童虐待は年々増加傾向にあり，虐待による死亡は把握されている分だけでも週に2人以上である.虐待には身体的虐待，ネグレク卜，心理的虐待，性的虐待の4つがあり，頻度は身体的虐待が40% 程度，ネグレクトが35?40%程度，心理的虐待が20%程度，性的虐待が3%程度である.医療機関で発見される虐待も増加傾向でかつ重症度が高い.医療従事者も虐待問題に積極的にかかわる必要がある.厚生省（現厚生労働省）によって日本の児童虐待に関する統計がとられるようになつたのは，約20年前の1990年のことである.当時，児童相談所における児童虐待相談対応件数は1，101件であつたが，2009年度の対応件数は44，210件であり，この20年で件数は実に40倍に増加したことになる（図1).