治療方針のたて方-総論-

摘要

閉塞性動脈硬化症(arteirosclerosis obliterans ： ASO)は，下肢虚血が原因で運動制限が生じるために生活の質が低下し，重篤な場合には下肢切断にまで至る疾患である.また，本疾患の主な死因が,心·脳血管疾患であることからも，心·脳血管疾患の早期診断，早期治療にも取り組まなければならない.このような理由から，ASOを治療するうえで重要なことは，①下肢血流改善はもちろんのこと，②心.脳血管疾患などほかの血管疾患の早期診断と早期治療，③動脈硬化因子の管理といった，足だけを診るのではなく，全身を診なければならないことである.そして，ASOの診療には，ASOを専門とする内科医や外科医，放射線科医だけが行っているのではなく，高血圧症， 糖尿病，脂質異常症，腎臓病を専門とする内科医や禁煙指導医も，ASOの予防および慢性期管理において重要な役割を担っている.