ニューモシスチス肺炎と肺結核を同時に合併した後天性免疫不全症候群の1例

摘要

症例は24歳，フィリピン人の男性.発熱と乾性咳嗽，労作時呼吸困難を主訴に来院した.胸部X線 写真と胸部CTで，両側肺野にびまん性のすりガラス状陰影を認め，ニューモシスチス肺炎を疑った.経気 管支肺生検を施行し，同検体中にPneumocystis jiroveciiとMycobacterium tuberculosisを認めた.病理 学的には，結核菌の周囲に巨細胞や肉芽腫等の特異性炎症は認めなかった.血液検査は抗HIV-1抗体が陽 性であり，末梢血CD4陽性リンパ球数は92/mulと低下していた.ニューモシスチス肺炎と肺結核を同時に 合併した後天性免疫不全症候群は稀である.免疫不全患者では典型的なニューモシスチス肺炎の画像を呈し ていても肺結核の合併が否定できない.免疫不全患者における感染管理対策について示唆に富む症例と考え報告する.