多能性幹細胞からの生殖細胞作成研究 現状と展望

摘要

生殖細胞は，個体形成能を有し，われわれの遺伝情報ゃェピゲノム情報を次世代に継 承する細胞である.生殖細胞の発生?分化。成熟機構の解明は，われわれの遺伝情報継 承機構の解明や幹細胞の増殖?分化制御技術の開発につながる.一方，胚性幹細胞(embryonic stem cells ： ESCs, ES細胞）や人工多能性幹細胞（induced pluripotent stem cells :iPSCs，iPS細胞）などの多能性幹細胞から生殖細胞の発生過程を培養ディッ シュ上で再現できれば，生殖細胞発生機構のさらなる解明の基盤となるとともに，不妊 や遺伝病発症機序の解明に有用となる.本稿では，多能性幹細胞から生殖細胞を作製する研究の現状と展望を概説する.