術前CRT症例における術後の問題術後補助化学療法の必要性と術後機能障害

摘要

これまで，大腸癌における術後補助化学療法の有効性を検証する大規模臨床比較試験（RCT)は結腸癌 にフォーカスしたものが多かった.結腸癌に関しては, MOSAIC試験1)およびNSABP C-07試験2)によって ォキサリブラチンの静注フルォロウラシル/ロイコボ リンへの上乗せ効果が無病生存期間（DFS),全生存 期間（OS)ともに示された.一方，直腸癌に対する 補助化学療法(テガフール.ゥラシル）の有効性を示 したRCTとしては.日本で施行されたNSAS CC-01試験がある3).しかし，本試験は対象が術前治療を伴わないstage HI直腸癌に限定されている.また， stage II大腸癌（91%)を主対象としたQUASAR trial(n = 3,239)4)では，術後補助化学療法の有効性 は結腸癌と直腸癌で同等に認められると報告された.