腸閉塞知っておくべき稀な病態を中心に

摘要

腸閉塞は，腸管内腔の正常な流れが妨げられること で起こる.発症経過により急性と慢性に分類され，閉 塞の原因により機能性（麻痺性）と機械性に細分化さ れる.本稿では，小腸閉塞を中心に概説していく.腸管閉塞のなかで，小腸閉塞は約80%を占めており， 性差はなく，平均年齢は60歳である.機械性小腸 腸閉塞の最も多い原因は術後癒着とヘルニアであるが， その他，さまざまな疾患が鑑別に挙がる（表1).腸閉塞が進行して高度の腸拡張や腸の絞扼が起こる と，腸への血流が妨げられてしまい腸壊死や腸穿孔を きたすことで，死亡などの重篤な合併症を生じるため， 緊急手術の適応となる.腸閉塞のなかでも，急性の機