血液疾患の遺伝子学

摘要

血液は,簡単に採取できるという点や,試験管内での扱いが比較的容易であるという背景から,細胞レベルにおける研究が最も早く進んだ臓器の1つである.細胞生物学的解析から,近年では分子生物学や遺伝子解析研究が加速し,その解析結果をもとにした分子標的治療の開発へとつながっている.特に,白血病の分野においての進歩は目覚ましく,異常融合遺伝子などの解析から,これまでの抗がん剤治療とは全く異なる,画期的な分子標的治療薬が幾つも誕生した.