結核の免疫

摘要

結核は，単一病原体による感染症としては人類に最も健康被害を及ぼしており，全世界で20億人（全人口の約1/3）が結核菌に既感染，毎年800万人が結核を発病，200万人が死亡し，看病者は2，200万人である．結核菌の病原性の特徴として，①マクロファージに感染し宿主防御機構から逸脱する，②潜伏感染により宿主からの排除を免れる，⑨遅延型過敏反応を誘導し組織破壊を伴う肉芽腫を形成する，といったことがある．これらの特徴は，結核菌 宿主免疫応答との相互作用によって生じるものであり，結核の予防·治療戦略の構築には，結核に対する宿主免疫の理解が必須である．