序論

摘要

血管は単に酸素養分を運搬するパイプでは なく，炎症などが生じた際には瞬時に骨髄や リンパ組織に炎症細胞の動員を図り，高度に 制御された血管透過性を介して病変部にそれ らを浸潤させる.このような生体防御におけ る機能のほかにも，最近，血管細胞が臓器特 有の細胞の生存そのものにかかわり，特に臓 器特異的な幹細胞に生態学的な適所を提供して，幹細胞の未分化性維持，自己複製などを 制御していることも明らかになってきている. このような血管機能は加齢とともに低下し， 臓器/器官の機能的障害に繋がる.よって加齢に抵抗するには，血管を維持する，あるい は血管を再生する治療法の開発が必要とされ るところである.