漢方治療薬によるアルツハイマー病の進行阻止への挑戦 その薬理学的基盤と臨床研究 序文

摘要

アルツハイマー病（AD)はunmet medical needが最大の疾患の1つである.国内外の大手製薬企業はアミ口 イドP (Ap)を創薬ターゲットとするADの疾患修飾薬（disease-modifying drug)の臨床研究に取り組んでいる 力、不成功が相次ぎ，ADの根本治療薬の開発は苦戦が続いている.著者はアミロイドカスケード仮説を否定す るものではないが，この失敗はアミロイドカスケード仮説を疑問視する原因にもなつている.一方，近年，漢方 薬をAD治療に応用しょうとする基礎および臨床研究も活発に行われ，漢方薬の新たな有用性とその斬新な作用 機序に関する知見も蓄積しつつある.