田野中浩一，丸ノ内徹郎

摘要

アンジォテンシン変換酵素と言うと，通常，アンジ ォテンシIをアンジォテンシンIIへ変換するぺプチ ダーゼのことを指す.アンジォテンシンnは，レニ ン/アンジォテンシン/アルドステロン（RAA)竭が 生理活性を発揮する中で，その中心的な役割を果たす.RAA系は，血管平滑筋への直接作用に加え，神経および内分泌系に作用することで電解質?水代謝の調節に関与し，生体の循環動態を制御している.RAA系が血 圧の上昇に中心的な役割を果たすことから，生活習慣 病の中で最多の患者数となる高血圧症で，RAAの活性 を低下させるアンジォテンシン変換酵素阻害薬（ACEI) およびァンジォテンシンII AT_1受容体遮断薬(ARB)は 重要な降圧薬となる.ACEIおよびARBを用いる治療 戦略は，アンジォテンシンIIの働きを阻止することで ある.