クスコ式膣鏡を用いた 小切開分節大伏在静脈採取法

摘要

冠状動脈バイパス術（CABG)における大伏在 静脈グラフト（SVG)の採取は，若手心臓外科 医の代表的な基本手技である.近年では低侵襲心 S蔵手術(minimally invasive cardiac surgery ： MICS)としてのMICS CABGも報告されて おり，CABGにおける静脈採取創もより小さく すべきであるとの考えが普及してきている.その ため内視鏡下静脈採取（endoscopic vein harvesting ：EVH)なども報告されるが，高額 な医材費がかかることと内視鏡手技であるがゆえ のラーニングカーブがあり，採取時間も通常切開 と比べると長くなつてしまう.また若手のSVG 採取の機会も減少してしまうことになる.そのた め医材費がかからず，かつラーニングカーブが少 なく ，若手でも安全に小切開SVG採取が行える 方法を考案する必要がある.当院では2012年よ りSとMサイズのクスコ式膣鏡（図1)を用い た小切開による大伏在静脈採取を行っているの で，その方法を提示する.