手指切断または不全切断後の機能回復および職場復帰の予測-Campbellのhand injury severity scoreの有用性

摘要

目的：手指切断の損傷重症度や損傷形態が機能回復や職場復帰に及ぼす影響と損傷重症度スコアの予後予測における有用性を検討すること.方法：手指切断もしくは不全切断に対して再接着や血行再建術を施行後3年以上の患者に対して呼び出し調査を行った.X線像，知覚回復，手指可動域(ROM),皮膚溫および手指機能回復度(玉井の評価基準とquick DASH)を評価し，職場復帰状況，治療および休職期間を記録した.また診療録から損傷レベル，損傷指数，損傷形態およびCampbellの損傷重症度スコア(hand injury severity score ： HISS)を決定した.結果：50例が調査可能で，年齢は18?69 (平均43)歲，経適観察期間は3年1力月～15年3力月(平均7年9力月)であった.損傷レベルが近位，損傷指数が増加，損傷形態が複雑化するにつれて機能回復が不良となっていた.HISSは玉井の評価基準と高い相関を示し(r=-0.77, p<0.001), quick DASHとも中等度の相関を示していた(r= 0.39, p=0.009).原職復帰，職種変更，就労不能と職業復帰レベルの低下につれてHISSは有意に低下していた.HISSが50以下では12例中11例が原職復帰可能であったが，50以上では約半数が原職復帰不可であつた.結論：手指切断患者に対してHISSを受傷時に算出することによって，機能回復や職場復帰を予測することが可能である.