幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後の胃内容停滞に対する再建術式の工夫

摘要

元来，Whipple手術は膵頭十二指腸切除（PD）の再建にあたり，再建後の難治性あるいは出血性吻合部潰瘍の発生を危惧して，予防的に酸分泌領域の胃切除を付加した術式である。 しかし，その後の研究により，吻合部潰瘍の発生は胃を半切しなくても，むしろ，幽門輪，十二指腸球部を温存することによって，防止できることが明らかになってきた。 したがって，リンパ節郭清という問題を別にするならば，Whipple手術の意図する胃の半切は無意味であり，幽門輪温存PD（PpPD）にあたっては，幽門輪の温存のみならず，酸中和機構を有する十二指腸球部の温存が重要なポイントとなる。