腹部大血管損傷

摘要

腹部大血管損傷はそのほとんどが銃創を中心と した穿通性外傷で発生するためわが国では治療経 験を積むことがきわめてむずかしい代表的な外傷 であるが，銃創が多発する米国においてもいまだ に高い死亡率を呈している（表1)。加えてこ のような重篤な患者に限って，洋の東西を問わず 夜間や週末など上級医や専門医がただちに対応で きないようなときにやって来るものである。し たがっていざというときに適切な対応ができるよ う大血管損傷に対する治療のポイントをあらかじ め理解しておく必要がある。