脾温存膵体尾部切除術 とくに脾静脈の損傷の予防と対応

摘要

膵の縮小手術としての脾温存膵体尾部切除術は着実な広がりをみせている。この術式は，術後の 感染とくに肺炎を防ぐ可能性や，血小板上昇を抑止することから重要視されている。Kimura らによる「脾動静脈および脾臓を温存した尾 側膵切除術」という安全で確実な手術手技の報告 以来，同術式を成功裏に施行しえたという多数の 報告例が存在している。脾臓への血流の温存方法には，脾動静脈を温存 するKimura法と脾動静脈を切離し，短胃動静脈を温存するWarshaw法がある。