円形脱毛症診療ガイドライン

摘要

古来より頭髪は個人の尊厳,人格を表すとの考えが強く,脱毛症に罹患した患者の喪失感,QOLの低下は著しいものがある.そのため難治の円形脱毛症に悩む患者はともすれば科学的根拠のない民間療法や育毛サロンなどの悪質なビジネスの被害者となることもあり,科学的根拠に立脚した治療の重要性が望まれてきた.欧米では既に円形脱毛症診療ガイドラインが作成, 公開されているが,人種,医療制度·歴史等の背景に本邦とは大きな違いがあり,そのまま本邦における診療ガイドラインとして受け入れることは困難である. そのような現状の中で,本邦の実情に即した診療ガイドラインが作成されることになつた.治療の推奨度については,「脱毛に悩む患者と,その治療に悩む皮膚科医のためになるかどうかを評価軸にして決定する」とされているこのガイドラインを参照する上でボイントとなる事項について解説したい.