周期性精神病の臨床的位置づけと低用量ピルによる治療効果

摘要

月経周期に一致して,意識障害,昏迷,興奮,抑うつ,不安,恐怖,幻覚·妄想,不眠などの多彩な精神症状を反復する疾患が存在する。周期性精神病と呼ばれるこの疾患は,その疾患概念や治療法がいまだ確立されていない。 われわれは, 3相性低用量経口避妊薬オーソ~R777を用いて排卵性月経周期を示す周期性精神病7例の排卵抑制療法を行い,良好な治療成績を得た。 今回の研究を通して,われわれは,女子の周期性精神病は間脳症に認められる症状が月経周期と何らかの関連を持った質的·量的変化を伴って相性に経過するものであることを指摘するとともに,少なくとも排卵性月経周期を示す周期性精神病には, "上位中枢における病的自律性の確立"が本態となっている一群が存在する可能性を示した。