医療系大学における学生のメンタルヘルスと ケアシステムの関係

摘要

医療系学生は一般にス卜レスがかかりやすいといわれているが，精神的な問題を 抱えた学生に対し十分な配慮がなされていない現状がある。われわれはこうした学生が留年?退学に至るケースを憂慮し，有するメンタルヘルスケアシステムの多いA大学と 少ないB大学の医学部学生に対し，メンタルへルスに関するアンケート調査（GHQ-12, WHOQOL短縮版）を行った。結果はGHQ， QOLともにA大学の方がB大学よりも有意に 得点が高く，これよりA大学の学生の方がB大学の学生よりも精神身体的健康度が高く， 生活の質も高いという考察が得られ，メンタルヘルスケアシステムの有用性が示唆された。 したがつて医療系学生が精神的にも健康な学生生活を送れるよう，大学におけるメンタル ヘルスケアシステムの充実が望まれる。ただし今回の調査は，メンタルヘルスケアシステ ム以外の要因の影響についてコントロールされておらず，結論を得るためにはさらなる調 查を要する。