薬物の経皮吸収に及ぼすO-エチルシクロヘキサノール誘導体の促進効果

摘要

皮膚を経由して薬物を全身性に送達させる方法は経皮吸収治療システム(TTS)と呼ばれ,既にいくつかの製剤が実用化されるに至っている.TTSは注射や経口投与のような他の投与法と比較して,肝初回通過効果の回避,薬物血中濃度の長時間の維持,薬物治療の中断が容易であるなどの利点がある.しかし,皮膚は外界からの異物の侵入を防ぎ,体内からの水分の蒸散を抑えるための重要な細織であり,生体膜としては最も強じんな構造をもっている.そのため,通常の状態では治療上充分量の薬物を皮膚から体内に送達することは困難である.