中国地域の変遷－転機を迎える島根、上関

摘要

東京電力福島第一原子力発電所（以下、福島第一）を大津波が襲った二〇一一年三月一一日。筆者は、広島市中心部で開かれていた合同就職面接会を取材していた。当時は空前の就職難。一転して今春の就職戦線は売り手市場だ。わずか四年で世の中は大きく変わると痛感する。時を戻す。その二年三月二日、筆者がいた場所から南西約八〇キロの瀬戸内海に浮かぶ長島（山口県上関町）では、中国電力が上関原発の建設準備工事を進めていた。予定地の海域を埋め立てる準備工事は、反対派の抗議を受けた一年三か月の中断を挟み、直前の二月二一日に再開したばかり。中国電は上関原発立地プロジェクトを社長が直接指揮する体制を整え、工事を進める強い姿勢を鮮明にしていた。