電源三法交付金制度の光と影－地元にもたらした正と負の側面

摘要

春の陽光が差し込む体育館に、ワンバウンドバレーボールを楽しむ中高年男女の歓声が響く。新潟県柏崎市内に約三〇あるコミュニティセンターの一つ。小学校を上回る数のセンターには体育館が付属しており、いつも各種スポーツサークルなどの予約でいっぱいだ。二〇〇四年の中越地震、〇七年の中越沖地震時では地域の中核的な避難場所となり、この体育館でも一時は二〇〇人以上が身を寄せ合い励まし合った。「コミュニティ活動を視察に来る皆が骨、『えっ体育館もあるの』ってびっくりする」（センターの主事）という施設群は、県内でも特異だ。電源三法交付金や東京電力柏崎刈羽原子力発電所からの固定資産税など、豊かな原発財源があって建設されたものだ。市内を一巡りすれば、ほかにも鉄筋コンクリート道の観光施設や温水プール、野球場など同規模市を上回るレベルの公共施設が立ち並ぶことに気付くはずだ。