過密に配置される無線LANにおける効率的なセル間協調制御方式

摘要

近年，移動通信トラフィックは爆発的に増加ともない，サービスやアプリケーションの高度化および多様化にも対応できる第5世代移動通信システム（5G）の研究開発が急務となっている．その中，低コストかつ柔軟性をもつ無線LANシステムは，携帯電話回線のトラフィックをデータオフロードする用途や，屋内の位置推定，緊急時の通信などに幅広く用いられている．現在，通信トラフィックの増大に合わせて無線LANデバイスを稠密に配置し，同一周波数チャネルを用いて通信を行うセルが多数重複すること（Overlapping Basic Service Set：OBSS）による干渉などの原因でネットワークのパフォーマンスが劣化している．本研究では，OBSS干渉によるネットワークのパフォーマンスの劣化問題に着目し，IEEE 802.11CSMA／CAチャネルアクセス方式をベースにし，OBSSトラフィックに対するキャリアセンスレベルの調整に加え，効率的なBSS間協調方式を適用することにより，BSS間干渉せず同時送信機会が増えるMACプロトコルを提案した．計算機シミュレーション結果により，提案の有効性を証明した．