［奨励講演］非線形振動子の同期現象に基づいた自律分散型同期技術に関する研究

摘要

Noise-induced synchronizationは非線形振動子が共通の入力により位相同期する現象である．我々は，共通の入力ノイズの代わりに相互に相関した自然環境データを用いた新たな同期手法を提案している．提案手法では，各機器にセンサと非線形振動子を搭載することで，センサで取得した環境データの入力により振動子が近隣の機器間で位相同期し，通信なしに機器間で同期を達成することができる．そして各機器が同期した振動子の位相に従い動作することで，最終的に機器間で通信なく自律分散的に時間同期動作を実現することができる．本稿では，提案手法を無線センサデバイスへ実装し，実機による動作確認を行った．無線センサデバイスの製品の一つであるMICAzを屋外に設置し，各デバイスにはセンサによって取得した温度データを自身のCPUで演算する非線形振動子に印可させた．以上のように設定した無線センサデバイス内部の非線形振動子の位相差を調べたところ，位相差0となる頻度が最も高くなることが分かった．