PLNC無線通信システムにおける低信頼中継局によるCSI偽装への対策

摘要

筆者らは，情報を秘密裏に取得する可能性のある低信頼中継局を利用した物理層ネットワークコーディング（PLNC）における，情報搾取を回避するための物理層セキュリティ（PLS）の検討を進めてきた．PLNCでは中継局に二つの無線局が同時にアクセスすることで，二つの信号が混信する．その結果，中継局が各信号を分離することが困難になる．ここで，相互の信号電力に電力差が生じるとキャプチャ効果により信号が分離できる．そこで，各無線局は中継局から通知される通信路状態情報（CSI）に基づき送信電力制御を行うことで電力差を緩和し，キャプチャ効果を抑制する．送信電力制御は中継局から通知されてくるCSIに依存するためCSIが偽装されると情報が搾取される可能性がある．本稿では，CSI偽装を考慮して低信頼中継局の情報搾取量を最小にすると同時に，秘密保持容量を最大にする送信重みの再設計を行い，安全な通信が可能であることを明らかにした．