高速時変伝送路に有効な伝送路予測に基づくPADMによる差動MIMO空間多重方式

摘要

本報告では，高速時変伝送路に有効な，差動MIMO（multiple-input multiple-output）空間多重によるPADM（per transmit antenna differential mapping）のための伝送路予測に基づく復調方式を提案する．PADMは，送信アンテナ毎に異なったマッピングで差動符号化する差動時空トレリス符号の一種であり，復調方式としてPSP （per-survivor processing）を用いることで高速時変伝送路に対する高い追随性を有する．PADMは，周波数利用効率を高めた際に，（1）受信感度特性が劣化する（2）演算量が増大するという課題を有している．本報告では，高速時変伝送路に対する追随特性に焦点を当て，伝送路予測に基づくPSP復調方式に関して議論する．更に，本報告では，従来の課題を解決するために，上記課題（1）に対しては空間多重，上記課題（2）に対してはDFSE（decision-feedback sequence estimation）による演算量削減手法を適用することを提案する．最後に，計算機シミュレーション結果により，提案するPADM空間多重のための伝送路予測に基づく復調方式が4bps／Hz，受信アンテナ数が2の条件にて，正規化最大ドップラー周波数f_DT=4%の高速フェージング環境下で良好な特性を実現することを示す．