誘電体基板スタック構造から成る擬似多層線路形高調波抑圧フィルタの開発

摘要

レーダ·通信に用いられる増幅器の高調波抑圧や同機器向けの高調波処理増幅器の効率維持のために，出力側に装着する高調波抑圧フィルタには，低損失に基本波を通過させ，複数次の高調波を吸収させる機能が求められる．ここでは，前記機能を持つ高調波抑圧フィルタを提案する．本フィルタ回路は，複数次の高調波を反射させる高調波反射フィルタと高調波を通過させる帯域通過フィルタを反射位相を制御した上で組み合わせることを特徴とする．また，本フィルタ回路を実現するにあたり，共振器の配置の自由度と基本波の低損失化を図り，低損失な単層基板をはんだボールによりスタックした擬似多層線路形を採用している．基本波をC帯，吸収させる高調波を2～4倍とし設計した．試作したフィルタは，サイズが基本波にして0.21波長×0.39波長程度である．測定の結果，基本波における挿入損失が0.356～0.468dB，2～4倍高調波の吸収を確認した．本報告では，提案する高調波抑圧フィルタの回路構成，擬似多層線路形を採用した構造，試作評価結果について説明し，本構成の有効性を示す．