複素減衰極による結合形フィルタの群遅延特性改善

摘要

マイクロ波帯で用いられる共振器結合形フィルタにおいて，任意の実周波数に減衰極を持ち，通過域減衰量が等波状の場合に，群遅延特性を等波状とするための方法として，複素周波数に減衰極を追加する2つの方法を検討している．1つは，複素減衰極を減衰特性と群遅延特性の両方に寄与するように追加する方法で，もう1つは，複素減衰極を全域通過関数として追加する方法である．結果として，前者の方法では，阻止域減衰量は増加するが，群遅延特性を完全に等波状特性にできないこと，また，後者の方法では，群遅延特性を完全に等波状特性にできること，および，全域通過関数の次数を増加するとその帯域内偏差を小さくできることを述べている．