分散マイクロホンアレイのためのラジオ放送信号を用いたサンプリング同期

摘要

本稿では、個別独立した収音装置を用いた分散マイクロホンアレイのために、ラジオ放送信号を用いたサンプリング同期方法を提案する。分散マイクロホンアレイでは、収音装置ごとのサンプリング周波数のずれによって、高度な信号処理アルゴリズムが破綻してしまうため、サンプリング同期は重要な問題であるが、提案法では室内や地下でも受信容易なラジオ放送信号を用いることによってこの問題を解決する。ラジオ放送信号は光速で伝搬するため、その伝搬遅延は音響信号と比較して全く問題にならず、この信号を用いてサンプリングずれを推定し、補間フィルタを構成することで、十分に同期した信号を得ることができる。実験では、サンプリング周波数が10%異なる信号の同期を試み、信号対誤差比30dBまで同期した信号が得られることを示す。