カラー画像のためのJPEGに基づく解像度変換を併用した符号化方式

摘要

静止画像の標準符号化方式であるJPEG符号化方式の低ビットレートにおける復号画像の画質改善を目的とした新しい方法を提案する．JPEG符号化方式におけるデータ圧縮はDCT領域における量子化のみで行われていたため，低ビットレートでは量子化誤差が大きくなり，復号画像にブロック歪み，モスキート雑音といった画像劣化が生じていた．筆者らは量子化のみの庄縮にたよるJPEG符号化方式に画像の解像度変換を併用する方法を提案し，低ビットレートでの画質向上を成し遂げた．しかしながら，その方法では解像度変換を水平方向，垂直方向ともに2分の1とするもので，解像度変換による画像劣化が大きく，濃淡画像での符号化では0.4［bit/pixel］程度まではJPEG符号化方式の方が解像度変換併用型よりも優れた特性を持っていた．本稿では，解像度を一度に両方向ともに2分1にせず，片方向2分の1解像度変換を追加することで，段階的な解像度変換を伴うJPEG符号化方式を提案する．提案法によって比較的高いビットレートから解像度変換併用型JPEG符号化方式がJPEG符号化方式よりも優れた結果を示すことになる．また，提案法はカラー画像を対象とするが，提案法がJPEG符号化方式における，YUV4:2:2やYUV4:2:0フォーマットよりも符号化効率において優れていることを明らかにする．