音楽ゲームを用いた英語リズム学習の可能性に関する研究

摘要

本研究では、英語リズム学習（RIM）教材が流れる音楽ゲームを開発し、そのゲームをプレイする事によって英語リズム学習が可能かどうか調べた。その音楽ゲームでは、音楽を聴きながら、画面上部から落下する矢印を画面下部に来たら、タイミング良く、PCの矢印キーを押さなくてはいけない。今回、学習群（日本語母語話者（JS）7名と英語母語話者（ES）3名）に、開発した音楽ゲームを、コントロール群（JS3名とES3名）に英語リズムを含まない音楽ゲームを5日間プレイさせ、その前後でのプレイヤーの英語発話リズムの変化を調べた。英語発話リズムは、RIM教材に含まれない英文を読ませた時の音声信号を録音し、教師音声との相互相関最大ピーク値から観測した．その結果、JS学習群はプレイ後、ピーク値が有意に増加し、英語リズムを学習したと考えられる一方で、ES学習群とJSコントロール群ではピーク値は変化しなかった。ゲーム成績は5日間で、JS群、ES群、コントロール群共に増加した．また打鍵タイミング時間差分布をJS群とES群で比較すると、初日ES群は正解より早めに押していたが、JS群ではそのような傾向は見られなかった．その違いは5日間で減少した．以上の結果から、指先によるタイミング学習を行う音楽ゲームによってJS群は口を動かすタイミング学習が促されたと考えられる．また初日の両群の打鍵タイミングの相違は、ES群では既に英語リズムが確立していて、その予測からタイミングが早まったものと推定される．つまり発話時のタイミングが指先に反映されているのではないかと示唆される．脳内では、手を動かすタイミング学習部位と口を動かすタイミング学習部位が相互に影響を及ぼし合っているのではないかと考えられる．